画像: 「機械学習処理のサービス化」というイノベーション

コンピュータをより知的にする「機械学習」のテクノロジー。従来、このテクノロジーを応用したシステムを作るには、相応の技術知識や高度な専門知識が必要だった。しかし今、「サービス化」の流れによって、機械学習処理の世界が大きく様変わりしようとしている。ここでは、その動向を前後編の2回に分けてリポートする。

読者諸氏は、「機械学習」という言葉に聞き覚えはないだろうか。ここで「聞いたことがない」とした向きは少数派であるに違いない。それほど機械学習のテクノロジーは、我々の生活の中に浸透し始めている。例えば、古くはスパムメール対策のアルゴリズムとして、また、Amazonの商品レコメンダーとして、さらに最近では、スマートグリッドや犯罪予測のエンジンとして、さまざまな分野で機械学習技術が応用され始めている。
このように、「技術の利用者」として、機械学習に触れる機会は増えているが、自社でそのテクノロジーを活用するとなると話は別だ。


例えば、機械学習の仕組みを作るには、ビッグデータを効率的に処理する基盤を導入しなければならず、多くの企業にとっては、「Hadoop」がその基盤の第一候補となる。具体的には、Hadoopを用いてビッグデータを解析し、モデルを構築し、その有用性を検証した上で既存ビジネスに適用していく、というわけだ。正直、Hadoopを扱うだけでも技術的なハードルは高く、それを駆使してビッグデータ解析・モデル構築を行うとなると、かなりの知識・技量が要求される。

また、機械学習処理のモデル化においては、「Mahout」や「scikit-learn」に代表されるような機械学習ライブラリを導入し、「R」や「Python」といったプログラミング言語を駆使しながら開発を進めていくことになる。したがって、「専門部隊」がいなければ導入は極めて困難だったのである。


ところが今、そうした状況が変わりつつある。すべてのテクノロジーがそうであるように、機械学習も一般ユーザーが利用可能なようにサービス化されつつあるのだ。

4月9日(米国時間)、AWSを提供するAmazonは、「Amazon Machine Learning(https://aws.amazon.com/jp/machine-learning/)」の提供開始を発表した。このサービスは、AWS上で保管されているビッグデータを用いて、簡単に機械学習処理を導入できるようにするものだ。ユーザーはAWS上で機械学習モデルの構築とトレーニングを行い、完成したモデルをアプリケーションからAPIで呼び出して利用することができる。

これと同様のサービスをAmazonに先駆けて提供しているのが「Microsoft Azure Machine Learning(http://azure.microsoft.com/ja-jp/services/machine-learning/)」だ。2014年からβ版が公開されていたが、2015年4月1日より正式リリースされている。同サービスの特徴は、ユーザーが作成した機械学習モデルやデータセットを他社に販売できるマーケットプレイスが用意されていることだ。

Microsoft Azure Marketplace : https://datamarket.azure.com/home

「Region(地域)」を「United States」にして検索すると、すでに739のアプリケーション、217のデータセットが外部のベンダーから提供されている。このように外部企業を巻き込みエコシステムを構築することにより、プラットフォーマ―としてプレゼンスを高めつつある。

これまでも、米国シアトルに本拠地を構えるDato社のように、機械学習処理のモデル化、実装をクラウドで完結可能なプラットフォームを提供するサービス(PaaS)は登場していたが、MicrosoftやAmazonのサービスはそれをSaaSに近いレベルに押し上げるものと言える。


また、利用シーン(ユースケース)を限定することで、完全なSaaSモデルとして独自性の高い機械学習処理サービスを提供する企業も増えている。次回、いくつかの事例をご紹介する。

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