画像: 仕事もプライベートも常に全力 ― だから選んだインディペンデントな働き方

企業が求める専門スキルを提供し、複数の企業とプロジェクト単位で契約するインディペンデント・コントラクター(IC)。日本ではまだあまり馴染みがないが、アメリカでは幅広い分野の個人のコンサルタントがICとして活躍している。日本の場合、個人で活躍する人は、デザイナーや編集者、ライターなどクリエイティブな分野が中心だった。しかし近年、企業内の人材でまかなっていた人事や新規事業開発などを、外部のプロフェッショナルへ依頼するケースが増え、「雇われない、雇わない働き方」を志向する独立したプロたちが活躍の場を広げている。

ここでは、人事コンサルタントでICの池照佳代氏に、働き方の流儀を聞く。

「子育ての時間を確保したい」、「経営者に近いところで人の育成に関する支援がしたい」。この両立を目指した池照佳代氏は、人事のICとして働く道を選択した

生活の時間配分は自分で決める

大学卒業後、英会話学校勤務後に外資系企業に入社した池照氏は、人事部門に配属された。以来約13年間、数社の人事部でキャリアを積み、マネージャーの職も経験した。だが、さらなる高みを目指して会社を退社。MBA取得に向け、1年間、法政大学の社会人大学院で経営学を学ぶ。それは、子どもが3歳のときだ。

大学院での学びを終えた池照氏の元には、すぐに外資系企業から人事マネージャーのオファーが届いた。だが、子育て時間との両立が難しいと感じ、誘いを断った。ところが、その後も、元の会社の上司や同僚から仕事の依頼が立て続けに舞い込んでくる。

池照氏が、“人事のプロ”としての独立を決意したのは、まさにそのときだ。「人事の仕事はしたいが、生活の時間配分は自分で決めたい」―そんな想いからの決断だった。

ICとしての存在意義

独立した池照氏には、自分がインディペンデント・コントラクター(IC)であるとの意識はなかった。だが、人から言われてそうだと気づき、改めて自分の過去を振り返ってみると、人事のICという存在をかなり以前から知っていたことに気づかされた。

人事という部署は、仕事が増えても、なかなか人を増やしてもらえないのが通常だ。事業の複雑化やグローバル化がいくら進展しても、他部門の人員採用はするが、自部門の採用は後回しとなるのだ。外資系企業の人事マネージャーであったころ、池照氏は、あまりの忙しさに米国の同僚に思わず愚痴をこぼしたことがある。目的は単純で、互いに愚痴を言い合って、多少なりともストレスの解消につなげたかったからだ。

ところが、その同僚はまったく愚痴らない。理由を聞けば、個人の人事コンサルタントに自分たちの仕事の一部を任せているからだという。

当時の池照氏には、個人の人事コンサルタントが何者で、どんな仕事を請け負ってくれるのかの想像はつかなかった。しかし今なら、その姿が鮮明にイメージできる。人事のICとして仕事をこなす、自分の姿そのものだからだ。

人事のICは、会社の人事部門と仕事をうまくシェアしながら、業務全体をスムーズに回す役割を担う。また、人事部門のスタッフは、ともに働くICからスキル・知識を吸収し、人事スタッフとしての自分を磨いていける。しかも、池照氏は、大手外資系企業のの小規模な日本法人人事部で、ありとあらゆる業務を経験してきた。だからこそ、人事部門のスタッフの悩みが分かる。彼らが解決したい課題が分かる。かゆいところに手が届く支援ができる。そして、それこそがICとしての自分の存在意義だと、池照氏は確信している。

「7回の転職」より「7つの仕事を同時に進める」が新しい

ICとして活躍する池照氏が、常に意識している1つが、働き方のポートフォリオのバランスを保つことだ。

具体的には、(1)「常駐型」、(2)「プロジェクト型」、(3)「スポット型」という3つの働き方の適切なバランシングを心がけている。

なかでも、池照氏が気を配っているのが、常駐型スタイルで働く時間を全体の5割以上に保つことだ。というのも、企業の人事部に席を置き、現場のスタッフとともに社内調整をしたり、制度改革を進めたりする常駐型の仕事は、自分の考えを机上の空論にしないためにも、また、現場感覚を維持するためにも、さらには、収入の安定を図るうえでも重要だからである。
池照氏は、「20代のうちから、10年後は今とは違う働き方をしているかもしれないとの意識を持つことが大切」と語り、米国のある大学教授の言葉を次のように引用する。

「父親の時代は、7時間同じ仕事をしていた。
 いま、自分は7回転職している。
 我々の子ども達の時代は、7つの仕事を同時にしているだろう」

池照氏自身、20年前は会社員として働く以外に身を立てるすべはないと考えていた。しかし今、仕事を通じて複数の企業とかかわりながら、NPO団体の理事もこなしている。

自分のスキルを1つの会社・組織のためではなく、複数の会社・組織のために使い、自らの生活を自らコントロールしていく。そんな働き方が、これからはもっと一般的になるに違いない。

そうした明日に備えて、自分のこれからの人生をどのスキルで支えていくか、そのスキルをどう磨いていくかをもっと本気で考えていくべきなのかもしれない。

【プロフィール】

池照佳代(いけてる・かよ) 有限会社アイズプラス 代表
外資系・国内企業双方の経験を生かしたタレントマネジメント(人材・組織開発)やサクセッションプラン(経営幹部の選抜や育成、後継者育成)を得意とする人事のプロフェッショナル。
2014年よりIC(インディペンデント・コントラクター)協会理事に就任し、働き方の多様性の一つとしてICの啓蒙活動に携わっている。
 
法政大学経営大学院 イノベーションマネジメント研究科 MBAコース修了(2006年)
カリフォルニア大学リバーサイド校 
TESLプログラム修了(1991年)

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